神様の贈り物
11月1日、ポイが死んだ。17歳のメスの三毛猫。人間の歳で言えば84・5歳か。高齢の猫によくある腎不全だった。ポイは前の店の裏の屋根の軒下で生まれた4匹のうちの一匹。1996年の7月14日、その日はパリ祭だったからよく覚えている。それまで猫なんて見向きもしなかった俺がその年の4月の霧の深い夜に、11時ごろかな、角の鈴木酒店の自動販売機で何を買おうか迷ってた時、なんか視線を感じてふと下を見ると、俺の顔をじぃ~っと見てる猫がいた。その時初めて猫の顔を見た。それまで猫なんてまったく興味がなかったので、茶色い猫とか黒猫とかただ漠然と認識するぐらいだった。その頃は店を始めて5年目かな。朝の5時ごろから夜の11時ごろまで仕事をしてたなぁ。夜、11時ごろ店で仕事をしてた時、工場の方で「ガタガタ」と音がした。泥棒でも入って来たのかなって一瞬ヒヤッとしたが猫だったので大立ち回りの末追い返してやった。「ああ・・びっくりした」と思って、ふと考えたら昨日自動販売機の側で俺の顔をじぃっと見ていた猫だったことに気が付いた。「やれやれ、追っ払ったからもう来ないだろうな」と思っていたら、翌日の夜また入ってきやがった。また追い返してやろうと思って「シィシィ」ってやったにも関わらず俺の顔を見て何かしきりに訴えてるのです。ニャ~ニャ~って言ってるだけなんだけど、一度追い返されてもひるまずにまた来るなんて「なんなんだこいつは!」ってその時思いましたね。それからちょくちょく昼間来るようになって時々餌とかあげてたのかなぁ・・。「あれっ今日は来てねえのかな」ってあたりを見回してると、隣の家の屋根の上から「ニャン」って鳴きやがる。自分を探してるのをちゃんとわかってんだな。そうやってだんだん猫の魔力にはまっていったのです。そして7月になってお腹が大きくなってきた。しばらく来なくなって久し振りに餌を食べに来た時、すっかりお腹がスマートになってた。「きっとどっかで生んだんだろうなぁ・・」と思った。「ニャンコ、お前どこで生んだんだ」ってその猫に言ったら「ニャーニャー」(こっちにきなよ)って俺を先導するかのように裏の軒下の草が生い茂ってる所に案内するではないか。行ってみるとそこには生まれたばかりの4匹の子猫が・・・。「お前ひとりで生んだのか?すごいなぁー」って頭撫でたら、胸を張って誇らしげにしているではないか。その子猫たちがだんだん大きくなり、じゃれあって遊んでいるの見るの面白かったなぁ・・。仕事してても張りあいあったなぁ。2匹は他人にあげて、ニャンコとリュースケとポイの3匹を家で飼うことにした。よく、「犬は人に付き猫は家に付く」というけど、それは嘘だね。猫も人に付きますね。リュ―とポイには俺が最初に触れた人間だから、俺によくなついたなぁ。リュースケは俺が帰ってくる足音で玄関にちゃんと待ってたし、二階に上がって行くと後をついて来て俺の部屋でグルグルタイム。ポイは俺が食事をしていると足元でウロウロして「オ、ポイ来たのか」って、隣の椅子をポンとたたくと「ヒョイ」と乗って俺の左腕に頭をぶつけてくる。「撫でてよ」っていう合図なんだけど。頭や顔を撫でてあげるとホントに目を細めて気持ちよくしてたなぁ・・。俺がテレビを見ながら撫でると、噛みつくんだよね、ま、甘噛みだけどね。「父ちゃん、ちゃんと気合入れて撫でてよ!」っていう意思表示なんだろうけどね。面白い奴だったなぁ。最近は椅子に上がるのも「よっこらしょ」という感じだったけど。人間の歳でいえば85・6歳だからしかたないかなぁって思ってた。でも、普通に元気だとおもってたんだがなぁ。俺が「ロデブの会」で東京に行ってる間に、急変して奥さんから「悪い知らせですポイが腎不全で、2・3日の命です」というメールが入った。まさに「晴天の霹靂」でした。家に帰るとポイが横たわってた。呼吸が荒かった。「ポイ!」って叫ぶと尻尾で返事をしてくれた。俺はただ撫でてやるだけだった。その二日後に亡くなった。サラシで巻いて一晩中抱いて寝た。生まれた時から今日まで17年間の事思い出しながら。おてんば娘で、よく他の猫に「左手の猫パンチ」を喰らわしてたなぁ。俺が夕食をとってると、娘が「ホステスさん行ったよ」って。すると、ポイが隣の椅子に乗ってきて俺の顔をじっと見る。「はやく撫でて」って頭を左腕にぶつけてくる。もう、そんなシーンはないんだなぁ・・・。「悲しみはいつだって幸せな日を選び風のように現れて夢のように消えてゆく、ひたすらに流れて行けささやかな人生よせめて戻せぬ運命(さだめ)なら・・・か」
翌日、リュースケと茶々丸が眠る同じ場所に埋めた。リュ―も茶々もポイも、お前たちと出会えて暮らして、俺は楽しかったよ。いろいろ教わったよ!そのうち俺が三途の河を渡るときは向こう岸でちゃんと父ちゃん待ってろよ!迎えに来いよ!じゃな、今までありがとう!





翌日、リュースケと茶々丸が眠る同じ場所に埋めた。リュ―も茶々もポイも、お前たちと出会えて暮らして、俺は楽しかったよ。いろいろ教わったよ!そのうち俺が三途の河を渡るときは向こう岸でちゃんと父ちゃん待ってろよ!迎えに来いよ!じゃな、今までありがとう!





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猫は一番信頼している人に、仔猫を最初に見せに来るといいます。きっと貴方の優しさが分かったから、やって来たのでしょう。猫に代わって「ありがとう!」
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